鈴なり星

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古今著聞集

 


平安時代の王朝ロマンを追うフィールドワーカー橘成季による、入魂の説話集。

 

古今著聞集の成り立ち


成立年:鎌倉時代。建長六年(1254)十月完成。
作者:橘成季(たちばななりすえ)。

成季は従五位下の下級貴族。多能の人で、詩歌・管弦・画図を得意とし、退官後、それらにまつわる過去の説話を編纂しているうち、説話収集が他の分野にも広がっていきました。50歳くらいまでにこの説話集を書き上げたといいます。
花鳥風月な話の他に、下級官人の失敗談、笑い話、機知に富んだ人の話、エロ話なども多いことから、この成季という人物はジョークや猥談好きで、才能も多岐にわたる好人物だったと思われます。

古今著聞集 概要


平安貴族のあらゆる説話を、先行する説話集から採るのではなく、家々の日記を調べたり直接聞いたりするなど、あくまで事実にもとづいて収集したのがこの古今著聞集です。
編纂した成季をはじめ京に住む多くの貴族は、古代貴族世界に対するやみがたい追慕の情がありました。
承久の乱での敗北以降、完全に政治から切り離され、京の狭い社会に閉じ込められてしまった貴族たちは、もはや新しい生活を生み出す力も気力もなく、ひたすら過去の栄光を懐かしむより他どうしようもありませんでした。
実質的な機能を奪われ、真綿で首を絞められるように滅びゆく自分たち。この世を動かし、文化をつくっていたのは、つい昨日までは自分たち貴族だったのに。
過去の時代の足跡を求め、「いにしえ」がいかに良きものだったかを改めて知ることが、この著聞集を編纂した動機でした。

三分の一が鎌倉時代の説話で、残りの圧倒的多数が王朝時代の説話で構成。内容は30編あり、世界を「宗教」「人間」「自然」と三分して記述され、

1神祇、2釈教、3政道忠臣、4公事、5文学、6和歌、7管弦歌舞、8能書、9術道、10孝行恩愛、11好色、12武勇、13術箭、14馬芸、15相撲強力、16画図、17蹴鞠、18博奕、19偸盗、20祝言、21哀傷、22遊覧、23宿執、24闘諍、25興言利口、26恠異、27変化、28飲食、29草木、30魚虫禽獣

となっています。
人事から自然まで、事実に基づいたあらゆる説話が百科事典的に羅列されている、いかにも男性が手がけた感のある説話集です。

古今著聞集 現代語訳 目次

 

能書1 285~290段 ・能書2 291~293段

好色1 315~321段 ・好色2 322~325段
好色3 326~330段 ・好色4 331~332段

画図1 383~388段 ・画図2 389~393段
画図3 394~398段 ・画図4 399~402段
画図5 403~406段

偸盗1 427~432段 ・偸盗2 433~436段
偸盗3 437~440段 ・偸盗4 441段
偸盗5 442~446段

宿執1 480~485段 ・宿執2 486~492段
宿執3 493~496段 ・宿執4 497~500段

興言利口1 507~512段 
興言利口2 513~516段
興言利口3 517~520段
興言利口4 521~525段
興言利口5 526~529段
興言利口6 530~536段
興言利口7 537~539段
興言利口8 540~542段
興言利口9 543~546段
興言利口10 547~550段
興言利口11 551~554段
興言利口12 555~558段
興言利口13 559~564段
興言利口14 565~571段

恠異(怪異)1 579~582段
恠異(怪異)2 583~587段

変化1 588~592段 ・変化2 593~597段
変化3 598~601段 ・変化4 602~605段
変化5 606~611段

飲食1 612~615段 ・飲食2 616~621段
飲食3 622~625段

魚虫禽獣1 672~679段