鈴なり星

平安古典文学の現代語訳&枕草子二次創作小説のサイト

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

第四回直撃レポートin後涼殿 その3

――真冬にひすまし女が増員されるのは、全女官のトイレの回数が増えるからなのですか。 「屋外トイレじゃなくて、ほーんとによかったですわ。室内のすみっこにある『おまる』で十分。寒風吹きすさぶ中でしゃがみこむなんて、痔になってしまいますものね」 ――…

第四回直撃レポートin後涼殿 その2

――女官の勤務状況はどうですか。何かご不満とかは。 「いいえ特には。一応建て前上は365日連続勤務となっていますが、交替勤務制なので非番の日があってきちんとお休みをいただけます。それは殿方も同じですわね。あと他に、女には『一週間の生理休暇』が非…

第四回直撃レポートin後涼殿 その1

行成だ。先ほどまで私は、寒風吹き込む左近の陣に詰めている武官たちと、火鉢にあたりながら世間話をしていたのだが…本音を言えば、もっともっとぐだぐだと皆にすがるように長話をしていたかった。これからしなければならない仕事のことを考えると…やはりキ…

狭衣物語36・狭衣、一品宮と正式に結婚

狭衣と一品宮の婚儀の当夜。大殿と堀川上が心を配り、狭衣の支度を終えた。衣装にたきしめた極上の香の薫りが華やかな衣装をさらに引き立てる。しかし出かける時刻がとっくに過ぎても、かんじんの狭衣は魂が抜けてしまったかのように、ぼんやりと部屋の端の…

源氏物語の女房たちの主従関係3・浮舟の女房侍従の君のつぶやき

高貴な御方々に『おしどり夫婦』がどれくらいおられるのか私には見当もつきませんが、あの匂宮さまと中の君さまは互いに愛し愛され、まことに仲の良い御夫婦だとの評判でございます。もっとも、背の君の愛情が過剰すぎるからでしょうか、有り余るなさけ心を…

小夜衣38・民部少輔、恋心をつのらせる

さて、対の御方(山里の姫)の周囲の人たちが心痛めて心配している間にも、御方を軟禁している民部少輔は恋心を悶々と募らせています。一言でもよいから恋心を訴えたいのですが、何と言っても相手は後宮女房。そう簡単に気持ちを打ち明けられるような女人で…