鈴なり星

平安古典文学の現代語訳&枕草子二次創作小説のサイト

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

第11段 ムカ男、旅の途中で友人へ消息を伝える

ムカ男はどんどん東国へと下って行きました。その際、旅の途中で友人に送った手紙には、忘るなよほどは雲ゐになりぬとも空ゆく月のめぐり逢うまで (私のことをどうか忘れないでください。お互い遠く離れてしまっているけれど、再会するその日まで)とあった…

第10段 ムカ男、田舎娘の母親から代作歌をもらう

ムカ男が京の都を離れ、武蔵の国をあてもなくさまよっていたところ、ちょっとした縁で地元の娘と知り合いました。娘の父は「相手は都の貴族さまだ、遊び半分ですぐに飽きて捨てられるぞ」と心配しましたが、娘の母は「こんな田舎なのに、願ってもない良縁」…

狭衣物語35・入道の宮、狭衣のすがる思いを破り捨てる

嵯峨院にさっそく参った典侍は、朝の勤行に専念している入道の宮のいる御堂に向かった。返事があるとは思えないが、とにかくお見せすることだけはしなければ。ようやく昼ごろ、入道の宮が文机で硯をお取りになったついでに、狭衣からの手紙をそっと置いた。…

狭衣物語34・事態はどんどん狭衣の望まぬ方向へ

それからしばらくたった六月のある暑い昼下がり、狭衣は嵯峨院の御子である若宮(真実は狭衣と女二の宮の子)と一緒に、若宮の住む一條の宮で遊んでいたとき、急に荒れ模様になったことがあった。雨に打たれる柏の木を若宮と二人でながめていると、入道の宮…