鈴なり星

平安古典文学の現代語訳&枕草子二次創作小説のサイト

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

第16段 ムカ男、途方に暮れた舅に援助する

むかし、紀の有常という人がいました。仁明・文徳・清和と三代の帝にお仕えし、裕福な名家でしたが、晩年になって時勢も変わり、傍流となってしまいました。権力の切れ目は縁の切れ目。かつて時めいていた有常はすっかり落ち目となって、ごく平凡な貴族より…

小夜衣40・民部少輔の妻の告発

さて、夫に内緒で屋敷を抜け出した民部少輔の妻は、伯母のいる家に駆け込み、「伯母さまがお仕えしている宰相の君に今すぐお目にかかりたい、連れて行って欲しい」と訴えました。尋常ならぬ姪の様子に驚いた伯母の中務は、大急ぎで車に乗りこみ、宰相の君の…

山路の露6・心中複雑な小君が選択したのは…

少し不機嫌な薫の問いかけに、小君は困ってしまいました。「別人だったとごまかしておくれ」とつらそうな顔で必死で頼んでいた姉上のことを考えると、真実を報告するのがためらわれます。かといって、自分たち姉弟ごときがごまかしたところで、いずれ事情は…

山路の露5・真夜中の火事騒ぎと小君の困惑

主人の薫に急いで戻るよう命じられていたのに、深夜になって屋敷に到着した小君一行。門は固く閉ざされ、誰も起きている気配がありません。姉上の事は明日参上してお話しよう、今夜はもう帰ろう…疲れていた小君は、家に帰って早く休みたいと思いましたが、薫…

狭衣物語41・恋しい人の移り香する猫が羨ましくて…

話は一品宮に戻る。常磐の尼君の娘が、故飛鳥井の女君の子に付き添って、一条院に上がり女房となった。その娘は一条院では小宰相の君と呼ばれている。狭衣は、亡き飛鳥井の女君を懐かしがりたい時や子どもの事が話したくてたまらない時、他の女房には目もく…