鈴なり星

平安古典文学の現代語訳&枕草子二次創作小説のサイト

2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

小夜衣42・按察使大納言の来訪に戸惑う民部少輔

大納言はさっそく動き始めました。先触れせずに民部少輔の家を訪ねたのです。「おかしい。いつもの方違えでは必ず事前に連絡が入るのに、ご訪問が突然すぎる」家主の少輔はどれほどあわてたことか。対する大納言は、顔色を失ってもてなしをする民部少輔をじ…

狭衣物語44・源氏の宮、斎院としての新たな出発

本院に到着した斎院は、自分がこれから後ずっと住むことになる本院を改めて見渡してみた。広かった堀川邸とは違う、ひっそりとした住まい。幼いころから馴染んだ堀川邸の広大な庭の木々や池はもう見られないのだと思うと、たまらなくさみしい気持におそわれ…

狭衣物語43・神の妻となる源氏の宮、狭衣の慟哭

明けた今年。斎院が宮中にある初斎院から紫野本院に渡御する。堀川大殿がたいそう気を配って斎院の住居となる本院を磨いているので、今年の賀茂祭りは今から何となく様子が違い、例年に増して華やかなものが期待できそうだ。祭り当日の飾りは、それこそ馬や…

第19段・ムカ男の元カノ、切ない思い

高貴なる御方のもとに出仕していたムカ男が、やはり同じ御方にお仕えしていた上﨟女房と恋仲になりました。ところが、ふとしたことから二人は別れてしまいました。お仕えしている御方が同じなので、二人は別れた後も近くで働いているのですが、女の方は御簾…

第18段・ムカ男、風流ぶった女の挑発を受け流す

むかし、中途半端に風流ぶっている女がいました。その女はムカ男の家の近くに住んでいました。女は、そこそこ歌を詠めるつもりでいましたので、ムカ男の風流さを試してやろうと思い、ある日、盛りを過ぎて色あせたうつろい菊に歌を添え、ムカ男のもとに送り…