鈴なり星

平安古典文学の現代語訳&枕草子二次創作小説のサイト

山路の露

山路の露6・心中複雑な小君が選択したのは…

少し不機嫌な薫の問いかけに、小君は困ってしまいました。「別人だったとごまかしておくれ」とつらそうな顔で必死で頼んでいた姉上のことを考えると、真実を報告するのがためらわれます。かといって、自分たち姉弟ごときがごまかしたところで、いずれ事情は…

山路の露5・真夜中の火事騒ぎと小君の困惑

主人の薫に急いで戻るよう命じられていたのに、深夜になって屋敷に到着した小君一行。門は固く閉ざされ、誰も起きている気配がありません。姉上の事は明日参上してお話しよう、今夜はもう帰ろう…疲れていた小君は、家に帰って早く休みたいと思いましたが、薫…

山路の露4・姉弟の再会と浮舟の願い

簀子の端に座る浮舟と、下の庭に控える小君。実の姉と弟はやっと対面できました。小君は、主人の薫の手紙を渡すより何より、まず姉の姿を確かめました。久しぶりに見る姉は昔と変わらず小柄でとてもきれいで、ただ、豊かだった髪の長さだけが以前とまったく…

山路の露3・小君、「必ずお返事を」と薫に厳命され

先日来、薫君は体調を崩していました。病状はそれほど大したことはないのですが、大げさに心配する母宮(女三の宮)が何かと干渉してきます。薫君は、「自邸にこもっていられる今のうちに、(浮舟のいる)小野と連絡を取りたい」と思っていましたが、あれこ…

山路の露2・浮舟、母を思う気持ち

今日は内裏の物忌の明ける日。重臣である薫君は慣例どおりに参内し、帝に拝謁し、自邸に戻った後は、北の方である女君(女二の宮)のもとに参ります。邸の女主人は、萩の重ねに紫苑色の内袿をたいそう優美に着こなしてくつろいでいました。まるで秋の野に咲…

山路の露1・事の始まり

これからお聞かせすることは、かの光源氏の御曹司、薫大将と呼ばれる御方の『その後』のお話でございます。その後、と申しますのは、死んだと思われていた浮舟の消息を小野の里に聞いた後の、お二人の切れそうで切れない不思議な縁のお話なのでございます。…