鈴なり星

平安古典文学の現代語訳&枕草子二次創作小説のサイト

2023-02-23から1日間の記事一覧

古今著聞集・飲食3 622~625段

622段 奈良法師の句に連歌した式部大輔敦光の事 式部大輔・藤原敦光のところに、奈良から僧が、飛鳥味噌(あすかみそ)なる食べ物をたずさえてやって来た。この飛鳥味噌、南都の僧が法論(仏教義の討論)を行う際、眠気防止に食した味噌で、焼き味噌に麻の実…

古今著聞集・変化5 606~611段

606段 大納言泰通の夢枕に老狐が立った事 大納言泰通卿の邸宅は、父親の侍従大納言成通卿から譲られた古い屋敷である。屋敷の広い庭にはたくさんの狐が棲みついていたが、特に困った悪さをするでもなかったので、そのまま放置していた。ところが年月が経つに…

狭衣物語16・女二の宮、苦悩の果ての落飾

お産の終わった女二の宮はだんだん快方に向かっていた。しかし心の内は、口惜しさと恥ずかしさで命も絶えそうな心地だった。そんな女二の宮を世話する母大宮の容態は、産養いの頃はごく普通に見えたのに、ある夕暮れ、突然はかなくお亡くなりになってしまっ…

小夜衣21・東雲の宮、山里の尼君に現状を愚痴る

それ以来東雲の宮は、前にも増して小夜衣の姫のことばかりを考えています。自分が今いる宮中で、同じ空気を吸って暮らしている、と思うと、それだけで心は千々に乱れます。この複雑な想いを、山里にいる尼君に訴えてみようか…ある日東雲の宮はそう決心して、…

小夜衣20・東雲の宮、噂の対の御方の素性を知る

こうして、可憐な対の御方見たさに、毎日毎日せっせと梅壺に通いつめる今上。とうとうある日ガマンできなくなって、梅壺女御に訊ねました。「ところで、奥に控えている女房…そう、あの竜胆襲(りんどうがさね)の女房ですよ。いつも目立たぬようにふるまって…

小夜衣19・暮らしの激変に戸惑う小夜衣の姫

こうして忙しく日々は過ぎ、とうとう按察使大納言の姫の入内当日になりました。たいへん豪華なお仕度です。数日前に今北の方が小夜衣の姫のもとへやってきて、「このお屋敷ですることもなく退屈に過ごされるよりは、思い切って宮中に出仕なさっては?気分も…