2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧
もうすぐ夜明け。まもなく、嵯峨院が後夜の勤行(午前四時頃)のために起床される時間である。いつもならこの時間の入道の宮は念仏に専念しているはずなのに、今日は血の気が失せるような思いで狭衣と対面している。尼となられた宮を今さらこんなに惑わせて…
575段 佐実、仲正の愛人沙金をめぐって乱闘し髻を切られる事 堀河天皇の御世、国母である中宮賢子のもとに沙金(砂金)と言う名のとびっきり美しい召使いがいた。兵庫頭で武士の源仲正(源仲政)がこの砂金を寵愛し、とても大事にしていた。ある日、関白の先…
『 拝啓 藤原斉信殿 斉信殿。お元気ですか。立秋もとうに過ぎましたが、都は相変わらず真夏の蒸し暑い空気がたちこめて、皆様方におかれましてはさぞ暑さにあえいでいることと存じます。こちらはやはり北国、立秋の少し前あたりから夜にはもう涼しげな風が吹…