鈴なり星

平安古典文学の現代語訳&枕草子二次創作小説のサイト

2023-03-19から1日間の記事一覧

狭衣物語23・狭衣、粉河寺での運命の出会い

この憂き世をただただ目的もなく生きている…そんな自分がみじめで、少しでも人生の道しるべを見つけようと、狭衣はある日、高野山にお参りしようと思い立った。ごく親しい人にこっそりと御供を頼み、参拝する寺に献上する法衣・袈裟などの法服をたくさん用意…

小夜衣29・悲しみの衝撃、走る

泣き疲れ、少し落ち着いたころ、乳母がふっと思いつきました。「もしかすると、東雲の宮さまのしわざでは?宮さまと姫さまは、内裏では一度も対面する機会がなかったはずでございます。逢いたい逢いたいと思い詰められた宮さまが、姫をさらってどこかへ隠し…

古今著聞集・興言利口14 565~571段

565段 橘蔵人大夫有季入道の青侍、不運の事 蔵人大夫の橘有季という入道のところに年配の青侍がいた。何事もツイてない、気の毒な人生を過ごしてきた彼だった。ある飢饉の年、彼は3日間食べ物にありつけず、それこそ命も危ないという時、主人の大夫が所有す…

古今著聞集・興言利口13 559~564段

559段 孝道入道が隣家の僧越前房を批判した事 孝道入道が仁和寺の自分の僧房で知人と双六を打っていると、隣の部屋の越前房という僧がやって来て見物し、いちいち口をはさんで邪魔をする。入道は腹の中で憎たらしく思いながらも我慢して双六を続けていた。そ…