鈴なり星

平安古典文学の現代語訳&枕草子二次創作小説のサイト

2023-02-19から1日間の記事一覧

古今著聞集・興言利口11 551~554段

551段 美貌の尼に仕え雌伏三年、思いを遂げた僧の事 少し前の話だが、あるところに純潔を慎ましく守り続け、一度も男と交わったことのない清らかな尼さんがいた。女盛りで顔立ちは美しく、立ち居振る舞いも好ましく、暮らしむきもまずまずのこの尼さんに、と…

古今著聞集・興言利口10 547~550段

547段 蔵人某の珍妙な喪服の事 ある若い蔵人が妻のことで困っていた。妻はとても嫉妬深く、男もほとほと愛想が尽きるほどで、毎日喧嘩が絶えなかった。男はいつもいつも「もう嫌だ、今日こそ別れたい、今日こそ」と思い続けていた。前世からのなにがしかの縁…

古今著聞集・魚虫禽獣1 672~679段

672段 禽獣魚虫、皆思ふ有るに似たる事 空飛ぶ鳥、地を歩くけものや虫けら、水泳ぐ魚の数は途方もない。人と話すことはできないが、その一つ一つには心があり、それぞれが皆思いを持っているように見える。 673段 右近少将広継、大宰府にて龍馬を得た事 奈良…

古今著聞集・宿執4 497~500段

497段 わずか七つにして芸道に執心する子の事 法深房藤原孝時は20歳の頃より熊野詣を始めた。「私の芸が父に及ばないのでしたら、今すぐこの命を取り上げて下さってかまいません」参詣のたびにそう祈り続けた甲斐があってか、その後彼は琵琶楽の第一人者にな…