次の日の早朝。「こんなところに汚らしい沓が置き捨ててあるわ!一体誰なの、こんなひどいことなさるのは!」ひとりの女官がけたたましく騒ぎ立てている。小兵衛の君だ。食事の準備が整った御膳を置いてある棚に、箱が一つあるのを一番に見つけた彼女は、中…
方弘は汚い沓を入れた箱を抱えていた。「おい方弘、もっと大事に扱えよ…大事な贈り物なんだから。まったくおまえはがさつだな」「わかってるって、心配するなっつーの」信経と方弘は後涼殿へ向かって、南廂を歩いている。事の発端は殿上の間での方弘のためい…
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