一品宮が下がった後の昼下がり、幼い人のいる気配がする部屋の障子のもとに近づいて、狭衣はこっそりと穴をあけてみた。穴をのぞくと、その向こうに、九つか十くらいの遊び相手がたくさんいる中に、若宮と同じくらいの年かっこうの、それはそれはかわいらし…
狭衣は一品宮には後朝の手紙は贈らなかったが、宮の母君である女院には手紙を贈った。 『まだ知らぬ暁露におき別れ八重たつ霧にまどひぬるかな(起きてあなたのもとから別れての帰り道は、あなたへの想いが幾重にも重なって、道に迷うほどでした)』 「まあ…
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