鈴なり星

平安古典文学の現代語訳&枕草子二次創作小説のサイト

2023-12-02から1日間の記事一覧

狭衣物語38・ようやく愛しい我が子に出逢えて

一品宮が下がった後の昼下がり、幼い人のいる気配がする部屋の障子のもとに近づいて、狭衣はこっそりと穴をあけてみた。穴をのぞくと、その向こうに、九つか十くらいの遊び相手がたくさんいる中に、若宮と同じくらいの年かっこうの、それはそれはかわいらし…

狭衣物語37・狭衣、温和な妻一品宮にモラハラ行為

狭衣は一品宮には後朝の手紙は贈らなかったが、宮の母君である女院には手紙を贈った。 『まだ知らぬ暁露におき別れ八重たつ霧にまどひぬるかな(起きてあなたのもとから別れての帰り道は、あなたへの想いが幾重にも重なって、道に迷うほどでした)』 「まあ…