鈴なり星

平安古典文学の現代語訳&枕草子二次創作小説のサイト

2023-06-11から1日間の記事一覧

狭衣物語27・今姫君の母代の衝撃の告白

対の屋の御簾のもとで、「大将が参りました」と狭衣自身が告げると、蚊の鳴くような声で女房が何か言い、バタバタと逃げる音がした。こうして逃げ隠れするのが洞院上の流儀なのだろうかと思い、御簾を引き上げてのぞくと、たくさんの女房たちが重なり合うよ…

狭衣物語26・洞院上の願い

ある日の昼下がり、狭衣は洞院上に呼ばれた。「狭衣さまは常日頃から、中宮さまの御母君の坊門上と親しくしておいでですが、私どもの方にはちっともお顔を見せては下さらないので、お越しをお願いした次第です。私も年をとるにつけ、だんだんと心細くなって…