鈴なり星

平安古典文学の現代語訳&枕草子二次創作小説のサイト

2023-03-11から1日間の記事一覧

狭衣物語22・妻選びにうんざり

そんな迷いもあって、何日経っても出家のふんぎりがつかず、ぐずぐずと心沈んだ日々を過ごす狭衣だったが、源氏の宮がかつて住んでいた対の屋を眺めれば涙があふれ、まるで亡き人を恋うる思いである。宮中に出仕する気になどとてもなれない。新斎院(源氏の…

小夜衣28・小夜衣の姫の失踪

さて、こちらは後宮の対の御方の局です。少納言の乳母(対の御方の乳母)は、自分の娘(小侍従)を御方に付き添わせ、自分は後宮に残ったのですが、尼君が危篤と聞いて一晩中まんじりともせず、夜が明けるのが早いか、胸のつぶれる思いで大急ぎで山里の家へ…

小夜衣27・今北の方の罠

今北の方とその乳母子の民部少輔夫妻が対面したその夜、内裏近くに目立たないようにしつらえた車が停まりました。中から女が出てきて、対の御方の局へと忍んで行きました。「大変なことになりました。山里の尼君さまの病状が悪化し、胸をおさえてたいそうお…