鈴なり星

平安古典文学の現代語訳&枕草子二次創作小説のサイト

2023-02-10から1日間の記事一覧

狭衣物語12・飛鳥井女君の絶望と狭衣の後悔

狭衣さまの子供を身ごもっている事を知られないうちに死んでしまおう、飛鳥井女君がそう思い始めてから5日たった。船の上の生活が続いていたが、女君は水を見もしない。乳母を見るにつけ、こんな裏切りをするような者をよくも今まで頼みとしてきたことよ、…

古今著聞集・恠異(怪異)2 583~587段

583段 後朱雀院、清涼殿の屏風の上に怪人を見る事 後朱雀天皇が崩御される前年のこと。除目(じもく)の最中、清涼殿第五の間の奥にある四季屏風の上に、赤い組み紐を首にかけた巨人が現れた。誰かに見られているような気配を感じられた天皇の背筋は凍りつき…

古今著聞集・恠異(怪異)1 579~582段

579段 怪異の畏れ慎むべき事 怪異に出会えば物忌みをして誰しも身を慎まねばならない。しかし白居易が『凶宅の詩』で、「凶なるものは場所がつくるものではない、人の惑う心がつくり上げるものなのだ」とうたっているように、そこに住んでる人に不幸が生じる…

古今著聞集・興言利口3 517~520段

517段 基房の春日詣に召され、褐衣で供奉した秦兼国の事 奈良は春日神社へ参詣する摂政松殿基房(藤原基房)が、後白河院から秦兼国という随身を借りたときの話。当時の兼国は警護の仕事を嫌っていて、この依頼を面倒くさいと思いつつ請け負った。やる気ナシ…