悪事が夫に知られてしまった今北の方はといえば。「知らぬ存ぜぬを決め込むこともできるけどねえ…世間にどれほど非難されようと、恨みのあるお妃に制裁を加えた権力者の女だって過去に何人もいたのだから。私だって愛娘のために、良かれと思ってしたことなの…
もうこれ以上耐えられないほどに恨み言がこみ上げてきた。だがその時、堀川上に付き添って対の屋へ行っていた女房たちが、斎院の部屋に戻ってきた。狭衣は何事もなかったようなそぶりをするしかない。所在なげに部屋の外を眺めれば、庭の木々の間から見える…
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